雑損控除とは?台風など自然災害の被害に遭ったら「雑損控除」

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近年、豪雨による川の氾濫など、各地で被害が相次いでいます。

皆さんは台風などで資産が損害を受けた場合に、
一定の金額の所得控除を受けられる
ことをご存じでしょうか?

これを雑損控除といいます。

田舎暮らしでは川の氾濫や土砂崩れ、雪による被害などは
身近に起きてもおかしくないと感じますよね。

また、雑損控除はスズメバチの巣の駆除費用も対象になります。

今回はファイナンシャルプランナーとして、
雑損控除について国税庁のページに書かれていることを
一般の人にも分かりやすく、噛み砕いて説明したいと思います!

概要だけでも知っておけば、今後なにか被害を受けたときに
『そうだ!雑損控除!』って思い出せますよね。

知らなければ(自分から手続しなければ)受けられないのが控除です。
要チェックですよ!

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雑損控除とは?

雑損控除は、いくつかある所得控除のうちの1つです。

災害または盗難や横領によって、資産について損害を受けた場合などに
一定の金額の所得控除を受けることができます。

どんな被害が対象なの?

雑損控除は、

  1. 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
    ⇒台風被害、浸水した、雪の重みで屋根が壊れたなど(雪下ろし費用もOK)
  2. 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
  3. 害虫などの生物による異常な災害
    ⇒シロアリやネズミによる家屋の被害、スズメバチの巣を駆除した費用など
  4. 盗難
    ⇒空き巣、ひったくり、車上荒らしなど
  5. 横領

以上いずれかの場合に限り、控除を受けられます。

ポイントとして「詐欺」や「恐喝」の場合には、雑損控除は受けられません。
ですから、「オレオレ詐欺」などで被害に遭った場合は対象外なのです。

また、雑損控除はあくまで「被害に遭った場合の救済措置」なので、
「予防目的の費用」は対象外となります。

例えば、
『シロアリ被害に遭わないように、業者さんに薬剤を塗ってもらう費用』は対象外です。

このあたりは、医療費控除の『インフルエンザ予防接種の費用は対象外』
みたいなのと考え方は似ていますね。

どんな資産が対象になるの?

雑損控除の対象になる資産は、

  • 納税者本人

のほか、

  • 納税者の配偶者控除や扶養控除の対象になっている親族

の資産も納税者が雑損控除として手続することができます。

このとき注意したいのは、「生活に通常必要でない資産」は対象にならないことです。
生活に通常必要でない資産の例として、次のものが挙げられています。

  • 趣味、娯楽、保養、鑑賞の目的で保有する不動産⇒別荘など
  • 趣味、娯楽、保養、鑑賞の目的で保有する資産⇒ゴルフ会員権など
  • 1個または1組の価格が30万円を超える貴金属、書画、骨董など

あくまで生活再建のための救済措置だよ、ということです。
また、事業用の資産も対象外となります。

雑損控除の金額は?

雑損控除の金額は、

  1. (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
  2. (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

どちらか多い方の金額です。
超~~~簡単にざっくりな説明すると、

「受け取った保険金を超えた、損害額ほか関連する支出の全部」から
「総所得金額の10%」を引く

か、

「被害を受けた住宅家財を取り壊して除去した費用だけ」から5万円を引く

か、

どっちか有利な方を選ぶというイメージです
(厳密には正しい言葉の表現がありますから、あくまでイメージで)。

計算上の詳しい言葉の意味を知りたい方は国税庁のHPでご確認ください。

国税庁HP:No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)

損失額が大きくて、その年の所得金額から控除しきれないときには、
3年間が限度ですが、翌年以降に繰り越して控除することができます。

また、雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。

手続きはどうするの?

雑損控除を受けるための手続きは、確定申告書に雑損控除に関する事項を書いて、
災害等に関連したやむを得ない支出の金額が分かる領収証を添付して提出します。

実際はとりあえず税務署に行って、
「雑損控除を受けたいのですが」と相談するのが一番です。

そのためにも領収証は捨てずに保管しておきましょう。

とにかく自分から「受けたい」と伝えないと勝手に控除してくれるものではないので、
災害に見舞われたら「雑損控除」っていうのがあるんだな、
とだけ、今回の記事で知ってもらえたらいいなと思います。

※雑損控除とは別に、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害に
 あった場合は、災害減免法による所得税の軽減免除があります。
 雑損控除と、納税者の選択によりどちらか有利な方法を選べるので
 こちらも併せて覚えておいてくださいね。

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