女性と仕事と、会社を辞めるということと。

在宅で働く
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私と夫は、学生の頃からの付き合いでした。
大学3年生になり、少しずつ就職活動が始まった2005年。

このときは就職氷河期が終わる少し前で、
私たちの周りは大学院に進学する選択をする人が大半でした。

学科100人のうち、就職したのは4人だったと思います。
うち2人が私と夫です。

もっと学びたいと積極的に院へ行く人もいましたが、
「今は就職活動が不利だから、先延ばしする。」
「今就職するなんて馬鹿じゃない?」

リアルにこんな会話も聞こえ、
消極的な理由で院進学を選んだ人も多くいました。

私も夫もそのあたりは強気に考えるタイプだったので、
『私を選ばないなんて見る目のない企業だ』ぐらいに
思っていたので(笑)、
氷河期を理由に就職をためらう気持ちはありませんでした。

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夫の一言で、「静岡県内で探す」のを辞めることにした

夫はいずれ伊豆に戻りたい気持ちがあったので、
静岡県内を中心に就職活動をしていました。

私はというと。
私も最初は、夫(この頃は彼氏だけど)と
あまり離れたくない気持ちから、静岡県内で就職先を探していました。

でも、そのことを夫に止められました。

「うれしいけど、本当にやりたい仕事ならいいけど、
 一緒にいたいっていう理由で静岡を選んでいるなら違うと思う。
 そういうのは無しにして、ちゃんとやりたいことを考えて。」

それで私は、静岡県内に就職先を絞るのをやめて、長野県で就職しました。
電子回路設計の部署。第一希望の職種でした。

配属された課は技術職ということもあり、
その課で女性は初だと聞きました(同じフロアには5名ほどいましたが)。

夫は、ちゃんとやりたいことを考えて就職先を選べと言ってくれたとき、
関係がずっと続くかなんて分からないんだから。とも言いました。

彼女に向かってなんてセリフを言うんだ、と思うのですが、
私のことを思ってそう言ってくれたのは分かるし、うれしかった。

だから、離れたけど私としてはすごく誠実な気持ちで、
純粋に「ずっと働き続けたい」と思える就職先を選んだのです。

2年後、会社を辞めることになった

社会人になって2年後、私は結婚することになりました。
なりました、というのもおかしな表現で自分で結婚すると決めたのですが。

私も若くて、プロポーズの返事って「Yes」か「No」しかないと
思い込んでいたんですね。

今だったら“あと1年待って”とか、保留という選択肢もあったなと思うけど、
そのときは「No」を選ぶ気持ちは無いから「Yes」だな、
ぐらいしか悩まず、結婚することを決めました。

24歳でした。

結婚=退職だったことを上司はこう言った

結婚すると決めてから実際結婚するまで、
1年ぐらい間を空けて準備をしました。

結婚し退職すると上司に伝えたのは、辞める半年ぐらい前のことです。
緊張しながら、状況を説明して半年後に辞めることを伝えました。

上司は分かった、と言ったあと、こんなことを言いました。

「最初からそのつもりだったの?」

私は一瞬、何を尋ねられたのか理解できませんでした。
返事に止まっていると、こう続きがありました。

「いや、もし最初から辞めるつもりだったのなら、
 女性が配属されるのは困るから今後は男性を配属してほしいと
 人事に伝えなきゃいけないと思って。
 何人も辞められては、こちらも困るから。」

ここまで聞いて、やっと言いたいことを理解しました。
さーっと冷たいもの走った感じがして、そしてすごく焦りました。

私はこの部署で初めての女性だった。
私が辞めたことで、この部署に今後配属されるかもしれない
女性の道が閉ざされようとしている。

それだけはダメ!とすごく焦ったのを覚えています。

当時、情報分野(SEさんとか)は、ちらほらと女性も見かけたんですね。

でも電気電子分野は本当に女性は稀で。
今は分からないけど、私は学科100人いる中での女性2人だったです。
それぐらい稀でした。

だから私のせいで、同じ分野の後に続く、ごく少ない女性の
進出の道が閉じるかもしれないと思うと「焦り」が最初にきたのです。

上司が引くぐらいの勢いで否定した

それは違います!と、焦りからなかなかの勢いで否定したのを覚えています。

もしかしたら、結婚するかも。そうしたら辞めることになるかも。
それは、私の心の中にはあったかもしれない。

でも、2人の関係が続くかなんて、
結婚するかどうかなんて就職するときには分からないじゃないですか。

まして、就職活動をしていたときに静岡に付いていこうとしたのを
止められて、純粋にやりたい仕事で選んで、就職しましたから。

そのときの私と夫の思いと選択まで否定されたような気がして、
悔しくて悲しくなりました。

とにかく、就職したときは第一希望の職種だったし、
勿論働けるものならずっと働くつもりで選んだことを精一杯伝えて。

「……まぁ、そうだよね。先のことなんて分からないしね。
 聞いたところでそれ以上の答えようもないし、
 聞いてもしょうがないことだよね。分かった。」

というような返事をもらって帰りました。

帰り道も、考えれば考えるほど悔しくて、悲しくて、
部屋に帰ってから一人でいっぱい泣きました。

(……今なら会社側がどう困ったかというのも分かるし、
 辞めたのは申し訳なかったなと思います。)

なんで今、この話を書こうと思ったのだろう

25歳で仕事を辞めて、10年。

華やか(苦労してるのは分かってるよ!)に働き続ける同期や、
Facebookでつながりのある人達の活躍を
「専業主婦」という立場から見ていて、色んなことを考えました。

働き続ける、という選択が、女性にとっていかに大変か。
私は辞めた側だから、“気持ちが分かる”なんて軽々しく言えません。

でも、
働き続けたい人が、働き続けられることをもっと当たり前にしたい!
と、女性も男性も多くの人が声をあげているのと同じように、

私には、辞めた側から声を上げたいことがあります。

家にいたい人が、働けることをもっと当たり前にしたい!

「専業主婦」という枠のくくり方は嫌いだということ。
もう、時代に合っていないと思います。

「専業主婦」は、働く=勤めるという認識だった時代の枠だと思う

時代に合ってない、と思う理由は、
専業主婦という言葉が生まれた時代にあると思うけど、

働くことが「=どこかの会社に勤めること」だった時代に作られた枠だから。

その時代は「専業主婦」という立場に『(勤めていない)私はそうだな。』って
しっくりくる人が多かったんだと思うけど、

今は家にいたって、家を中心にいる理由なんて家庭ごとに様々でしょう。

私は、働き続けている立場から声が上がって変化が起きているなら、
辞めてしまった立場からだって、変化を起こせると思う。

専業主婦っていう変な形の枠を壊せるのは、
むしろ私の側の立場だよね。と思うのです。

枠を壊すには、“境目をあいまいにすればいい”と思っていて。

働く立場から少しずつ枠を壊して家事育児を…ってやってるみたいに、
家にいる側からも同じように枠を壊して、
家にいながらも働くよって示していけたらいいじゃん!と思っています。

つまりそれは、「働く=勤める」という考え方ではないということ。
専業主婦=勤めていない人=働く気が無い人という、
変な枠に入らない、ということです。私がそれを実践していくつもりです。

長くなったのを読んでくださってありがとうございます。

働く人が、
「働いてるからって子どもへの愛情や家庭のことに手抜きしてない!」
って思うように、

家にいたって
「責任をもってイキイキと働いて、
 自分のやることが誰かのためになって感謝されることに、手抜きしてない!」
と私は思いたいです。

ひとまず第一弾を書きました。

で、家にいても働けることを当たり前にするために、
今の在宅ワークの仕組みに思うことも色々あって。

またそれはそれで、書きたいと思います!

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